ミドルノートは「心」。香水のテーマが現れる、最も長い時間の物語
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香水を肌に乗せた瞬間、華やかに弾ける「トップノート」。それはまるで、初対面の挨拶のようなものです。明るく、印象的で、しかし儚く消えていきます。
その挨拶が終わり、緊張が解け、その人が本来の表情を見せ始める時間。それが「ミドルノート(Middle Note)」です。
香りのピラミッドにおいて、最も長く続き、その香水の「核」となるこの時間帯。今回は、香水の物語の主役であるミドルノートについて深く掘り下げていきます。
トップノートが去った後の「本音」

トップノートの揮発性の高いシトラスやグリーンが落ち着き始める頃、つまり香りを纏ってから約15分〜30分後に顔を出し始めるのがミドルノートです。
この時間は、ブランドや調香師が「この香水で本当に表現したかったこと」が語られる時間でもあります。トップノートが「どう見せたいか(よそ行き)」の顔だとすれば、ミドルノートは「どう在るか(本音)」の顔と言えるでしょう。
この香りの持続時間は一般的に2時間〜4時間程度。香水を纏って過ごす時間の大部分は、このミドルノートと共にあります。
なぜ「ハートノート」と呼ばれるのか

ミドルノートは別名「ハートノート(Heart Note)」とも呼ばれます。これは単に「真ん中」という意味だけでなく、香水の「心臓部」としての役割を果たすからです。
- テーマの体現: 「ローズの香水」「スパイシーな香水」といった香りの分類(ノート)は、主にこのミドルノートの構成によって決まります。
- 繋ぎの役割: 揮発の早いトップノートと、重厚で残り続けるラストノート(ベースノート)を滑らかに繋ぎ、香りの断絶を防ぐ「架け橋」となります。
- 安定感: 激しく変化するトップとは異なり、肌の上で安定して香り続けます。
香水を選ぶ際、ムエット(試香紙)に吹きかけた直後の香りだけで判断してはいけないと言われるのは、この「ハート」を確認していないためです。真の相性は、ハートノートが現れてから初めて分かります。
ミドルノートを構成する役者たち

では、この心臓部にはどのような香料が使われるのでしょうか。
トップノートよりも分子が大きく、揮発速度が緩やかな素材が選ばれます。
代表的なミドルノートの香料
- フローラル(花): ローズ、ジャスミン、イランイラン、ゼラニウムなど。香水に華やかさと奥行きを与えます。
- スパイス(香辛料): シナモン、クローブ、カルダモン、ペッパーなど。香りを引き締め、個性を際立たせます。
- フルーツ(果実): ベリー系やピーチなど、シトラス以外の重みのある果実。
これらが複雑に絡み合い、あなたの体温と混ざり合うことで、世界に一つだけの「肌の匂い」へと変化していきます。
TAPUTIが考える、ミドルノートの在り方

「第一印象は、操作できる。
しかし、長く続く余韻は、その人の本質しか語らない。」
私たちは日常生活において、つい「トップノート(第一印象)」を良くすることにエネルギーを注ぎがちです。しかし、本当に大切にすべきは、飾らない自分が現れる「ミドルノート」の時間ではないでしょうか。
TAPUTIのコレクションは、派手なトップノートで誤魔化すことをしません。
時間の経過と共に、肌に馴染み、その人の内面と静かに調和する「ハート」を最も重視して設計されています。
香水を選ぶときは、ぜひ時間をかけて待ってみてください。
30分後、ふとした瞬間に香る匂いが、あなたが心地よいと感じるものか。それこそが、あなたが求めている「在り方」の答えかもしれません。